むかし、猟師りょうしに追おわれたキツネが、炭焼すみやきをしている小五郎こごろうの炭焼き小屋すみやきごやに飛び込とびこんで来きました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
キツネは、びっくりしている小五郎こごろうに手てを合あわせて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「小五郎こごろうさん、どうか今日きょうの所ところは見逃みのがして下ください。必かならず、このお礼れいはしますから」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで小五郎こごろうは、キツネを裏口うらぐちから逃にがしてやったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
それから数日後すうにちご、あの時ときのキツネが小五郎こごろうの所ところへやって来きて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あの時ときは、お世話せわになりました。さて、約束やくそくのお礼れいですが、あなたにお嫁よめさんをお世話せわしたいと思おもいます」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「嫁よめさんを?」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「はい。この頃ごろ、この近ちかくの谷川たにがわへ、天てんから天女てんにょが水浴みずあびにやって来くるのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょは水浴みずあびをする時ときに、着きていた羽衣はごろもを脱ぬいで木きに引ひっかけますから、それをあなたが隠かくしてしまうのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょは羽衣はごろもがないと天てんに帰かえれませんから、行いく当あてのない天女てんにょはあなたのお嫁よめさんになってくれるでしょう」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
次つぎの日ひ、小五郎こごろうがキツネに教おしえてもらった谷川たにがわに行いってみると、一人ひとりの美うつくしい天女てんにょが谷川たにがわで楽たのしそうに水浴みずあびをしていました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうは近ちかくの木きの枝えだにきれいな羽衣はごろもがかけてあるのを見みつけると、それを炭焼き小屋すみやきごやの柱はしらの穴あなの中なかへと隠かくしたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そして再ふたたび谷川たにがわへ行いくと、裸はだかの天女てんにょが天てんを見みつめながら途方とほうに暮くれていました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あの、そこで何なにをしているのですか?」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうが声こえをかけると、天女てんにょは目めに涙なみだを浮うかべて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「わたしは天女てんにょなのですが、天てんへ帰かえる為ための羽衣はごろもを無なくしてしまい、どうする事ことも出来できないのです」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
すると小五郎こごろうが、天女てんにょに言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「よければ、わしの家いえで暮くらさないか?」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「・・・はい、お世話せわになります」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
こうして天女てんにょは小五郎こごろうの家いえに住すむ事こととなり、そのまま小五郎こごろうの女房にょうぼうになったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
やがて小五郎こごろうと天女てんにょの間あいだには男の子おとこのこが生うまれて、その子こが三歳3さいになりました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
女房にょうぼうは美うつくしいし、子こどもは可愛かわいいし、小五郎こごろうは毎日まいにちが楽たのしくてなりません。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そんなある日ひの事こと、子こどもが小五郎こごろうの隠かくしていた天女てんにょの羽衣はごろもを見みつけたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「母かあちゃん、こんなきれいな着物きものが、炭焼き小屋すみやきごやに隠かくしてあったよ」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「・・・・・・!」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
子こどもからそれを聞きいた天女てんにょは、しばらく言葉ことばも出だせずに立たちつくしていましたが、やがてその羽衣はごろもを身みにまとうと子こどもを抱だいて天てんへと登のぼっていったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
その日ひの夕方ゆうがた、仕事しごとから帰かえってきた小五郎こごろうは、家いえに天女てんにょも子こどももいないのでびっくりしました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「こんな時間じかんに、どこへ行いったのだろう? ・・・はっ! もしや」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうがあわてて羽衣はごろもを隠かくした柱はしらの穴あなを見みると、やっぱり羽衣はごろもがありませんでした。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
一人ひとりぼっちになった小五郎こごろうは、天女てんにょと子こども名前なまえを呼よんで毎日まいにち泣き暮なきくらしました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そんなある日ひの事こと、前まえに小五郎こごろうが助たすけたキツネが再ふたたびやって来きたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「小五郎こごろうさん。再ふたたび天女てんにょや子こどもに会あいたいのなら、鳥とりの羽はねで傘かさを作つくるといいでしょう。わたしがそれを、天てんまで吹ふき飛とばしてあげます」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで小五郎こごろうが鳥とりの羽はねで大おおきな傘かさを作つくると、仲間なかまを引き連ひきつれたキツネがその傘かさへ一斉いっせいに息いきを吹ふきかけて、小五郎こごろうを空高そらたかくに吹ふき飛とばしてくれたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
空高そらたかくに舞い上まいあがった小五郎こごろうは、そのまま風かぜに乗のって天界てんかいへとたどり着つきました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
しかし天界てんかいは広ひろすぎて、どこへ行いったらいいのかわかりません。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「ああ、これからどうしたら良よいのだろう?」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうが途方とほうに暮くれていると、急きゅうに後うしろから子こどもの声こえがしました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あっ、父とうちゃんだ! 母かあちゃん、父とうちゃんが来きているよ!」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
すると、その声こえをききつけた天女てんにょが走はしって来きました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
こうして三人3にんの親子おやこは、再ふたたび出会であう事ことが出来できたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょが、小五郎こごろうに言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あなたが羽衣はごろもを隠かくしたと知しった時とき、つい腹はらが立たって子こどもと一緒いっしょに天界てんかいへ帰かえって来きましたが、あれからあなたを忘わすれた事ことはありません。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
あなたに、会あいとうございました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
これから、この天界てんかいで親子三人おやこ3にん暮くらしましょう。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
しかし、わたしの母ははは、あなたを良よくは思おもってはおりません。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
あなたに色々いろいろと難むずかしい仕事しごとを言いいつけるでしょうが、わたしが助たすけますから、どうか何なにを言いいつけられても怒おこらないで下ください」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「ああ、三人3にんで暮くらせるのなら、何なにを言いわれても文句もんくは言いわない」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
次つぎの朝あさ、天女てんにょの母親ははおやが小五郎こごろうに言いいつけました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「山奥やまおくにある大岩おおいわを、お前まえ一人ひとりの力ちからでかついで来きなさい」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「大岩おおいわをですか?」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうが困こまっていると、天女てんにょがやって来きて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あなた、わたしが大岩おおいわを張り子はりこの岩いわと取り替とりかえておきますから、あなたは母ははの前まえだけ重おもそうな身振みぶりで持もって来きて下ください」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで小五郎こごろうは天女てんにょが用意よういした張り子はりこの大岩おおいわを、いかにも重おもそうにかついで戻もどりました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
すると、天女てんにょの母親ははおやは、FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「ふん。人間にんげんにしては、力ちからがあるようね。では山奥やまおくに大おおきな林はやしがあるから、その林はやしの木きをみんな切り倒きりたおして、牛うしにつけて引ひいて来きなさい」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
と、また仕事しごとを言いいつけたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「林はやしの木きを、一人ひとりで切り倒きりたおすなんて・・・」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうが困こまっていると、天女てんにょがやって来きて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「ひと振ふりで千本せんぼんの木きを切り倒きりたおせる宝たからの斧おのがあります。持もって行いきますから、あなたは先さきに林はやしへ行いって下ください」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで先さきに林はやしへ行いった小五郎こごろうが木きの切り株きりかぶで休やすんでいると、天女てんにょが宝たからの斧おのを持もって来きてくれました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
小五郎こごろうがその斧おのを軽かるく振り回ふりまわすと、林はやしの木きはたちまち切り倒きりたおされてしまいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
それを小五郎こごろうが牛うしに引ひかせて家いえに戻もどると、母親ははおやはまた、FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「では次つぎに、粟あわ(あわ)を二俵2ひょう半はん、牛うしにつけて山やまの畑はたけへ持もって行いって、それを一面いちめんにまきなさい」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
と、仕事しごとを言いいつけたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
今度こんどは簡単かんたんな仕事しごとだと思おもって小五郎こごろうが喜よろこんでいると、天女てんにょがやって来きて言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「母ははが、この次つぎに言いいつける仕事しごとは分わかっています。あなたは畑はたけへ持もって行いった粟あわをまかずに、畑はたけの隅すみにでも置おいておいてください」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで小五郎こごろうは山やまの畑はたけへ二俵2ひょう半はんの粟あわを運はこぶと、そのまま畑はたけの隅すみに置おいて帰かえりました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
すると母親ははおやは、次つぎにこう言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「では次つぎに、さっきまいた粟あわを一粒ひとつぶ残のこらず、持って帰もってかえって来くるのです」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
さっきは粟あわをまかずに置おいてきたので、小五郎こごろうはその仕事しごとも簡単かんたんにやり遂とげる事ことが出来できました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
それを見みた母親ははおやは、目めを丸まるくして言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「まあ、お前まえほど仕事しごとの出来できる婿むこは、この天界てんかいにもそう多おおくはいないでしょう。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
正直しょうじき、見直みなおしましたよ。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
では、最後さいごの仕事しごとです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
カラスがウリ畑ばたけのウリにイタズラをするので困こまっています。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
明日あしたの朝あさから晩ばんまで、ウリ畑ばたけの番ばんをしていなさい」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
するとそれを聞きいた天女てんにょが、うれしそうに言いいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「この仕事しごとが終おわれば、わたしたちは平和へいわに暮くらす事ことが出来できるでしょう。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
頑張がんばって下くださいね。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
でも、わたしがお昼ひるにお弁当べんとうを持もって行いくまでは、どんな事ことがあってもウリに手てをつけないで下くださいね」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
次つぎの日ひ、小五郎こごろうはウリ畑ばたけでウリの番ばんをしていたのですが、なぜか喉のどが渇かわいて仕方しかたありません。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで小五郎こごろうは天女てんにょがあれほど言いっていたのを忘わすれてウリを一ひとつ取とると、それを二ふたつに割わって食たべようとしたのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
するとそのウリから、水みずが津波つなみのようにわき出でてきました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
実じつは天界てんかいのウリは食たべるためのウリではなく、地上ちじょうへ降ふらす雨あめが詰つまった雨壺あまつぼ だったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょがお弁当べんとうを持もって来きた時ときには、小五郎こごろうはウリからあふれ出でた水みずに流ながされて行いくところでした。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あなたー! もう少すこしの間あいだ、頑張がんばって下ください!」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょは急いそいで家いえに帰かえると、竹たけと短冊たんざくを持もって戻もどって来きました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そして、FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
《伸のびなさい》FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
と、願い事ねがいごとを書かいた短冊たんざくを竹たけに結むすびつけると、天女てんにょは竹たけを小五郎こごろうに差し出さしだしました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
天女てんにょが差し出さしだした竹たけは短冊たんざくに書かいた願い事ねがいごと通どおりに、小五郎こごろうめがけてどんどん伸のびていきますが、後一歩あといっぽの所ところで力尽ちからつきた小五郎こごろうは、そのまま流ながれに流ながされてしまいました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
そこで天女てんにょが、声こえをかぎりに叫さけびました。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「あなたー! 母ははに頼たのんで、月つきの七日なのかに水みずの流ながれを止とめてもらいます。その時ときに会あいましょう!」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
ところが小五郎こごろうは、それを七月しちがつ七日なのかと聞きき間違まちがえてしまったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
「わかった、七月しちがつ七日なのかだな!」FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司
こうして二人ふたりは、一年いちねんのうちで七月しちがつ七日なのかだけにしか会あえなくなったのです。FHv长春翻译公司-忠信乐译翻译有限公司